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〈12 開示悟入かいじごにゅう がある授業〉 関西創価小学校の取り組み「学力の向上」も「人間的な成長」も

 聖教新聞2025年8月20日付

 

 関西創価小学校の取り組み

 「学力のこうじょう」も「人間的な成長」も

 

 授業中の写真である。これだけを見れば、「みんな立ち歩いているけれど……」と不思議に思う人もいるかもしれない。

 先月15日に行われた、関西創価小学校3年1組の算数の時間。そのクライマックスの場面だ。

 教室のホワイトボードには「29÷3」「56÷6」といった〝割り算の問題〟が並ぶ。児童が個々に考えて板書したもの。それぞれが、問題を選んで回答を自分のノートに書き、出題者のもとへ向かう。

 「◯◯さん、お願いします!」。答え合わせは「正解です!」。回答者は「よし!」と小さくガッツポーズをして、次の問題へ。1問正解に付き1ポイント。合計5ポイントで「スーパー3年生」、10ポイントで「ミラクル3年生」という設定だ。

 授業を進めるのは、総合学年主任で算数専科の田代みつあき教諭である。学級担任のはるましとし教諭がフォローに当たる。二人してしんちょくを見守り、「スーパー3年生、現る!」と盛り上げたり、少しつまずいている子に寄り添ったりする。

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 「楽しくて、分かりやすくて、しかも能率的でなければ創価教育ではない」。これが、初代会長・牧口つねさぶろう先生の信念だった。関西創価小学校が目指すのは、そんな教育実践によって「学力のこうじょう」と「人間的な成長」を両立すること。そのために、法華経方便品に説かれた「かいにゅう」の法理を教育原理として応用している。牧口先生が実際に取り入れた教授法だ。

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 その原理が今回の授業で、どう展開されたか。時計の針を40分戻し、振り返ってみよう。

 まず「かい」。子どもの心を算数の世界へ開き、一気に引き込む導入だ。フラッシュカードという教材を用いる。田代教諭が1枚ごとに1桁の数字が書かれたカードのたばを持って、「3を足します」等と問いを出してから、高速でめくって見せる。

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 〝2〟と書かれていたら「5!」、〝7〟と書かれていたら「10!」と全員で次々と答えるのだ。掛け算も加わる。さらに個々で机の上の問題用紙に向かう「計算タイム」へ。ここまで約5分。

 次に「」。今日の課題を示す段階だ。田代教諭が問う。「シールが26枚あります。1人に6枚ずつ配ります。何人に分けられて、何枚余りますか」。余りの出る割り算がテーマだ。ここは、ゆっくりていねいに、解き方を確認する。〝これならできそうだ〟と、児童の表情に安心感が浮かぶ。

 続いて「」。文章問題をどう解いたか、隣の席の友達と説明し合う。すると「そうやればいいのか!」と理解を深め、納得していく。

 ここまでのリズムとテンポが絶妙だ。田代教諭は常に児童の発言や振る舞いに目と耳と心を研ぎ澄ませ、「分かりやすい発表だね!」「ノートの書き方が素晴らしい!」等と、励ましのフィードバックを欠かさない。

 授業は終盤へ。記事冒頭の場面である。「余りの出る割り算の問題をつくって、解き合おう!」

 一人一人が生き生きと動き出す。自分の問題を友達がうれしそうに解いてくれる。自分もどんどん解きたくなる。きょうどう学習のうねりで教室全体が揺れるよう。

 残り時間は2分。田代教諭が言う。「まだ誰にも自分の問題を解いてもらっていない人?」。3人の手ががった。「3人の問題は難しいね。解けた子は2ポイントにしよう!」。皆がその子たちのもとへ。熱中は頂点に──。

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 チャイムが鳴った。

 「一人も置き去りにしない」学びの温かさが、教室を包んでいる。「もっとやりたい!」「家でも、お父さんやお母さんとやろうかな」。そんないんが広がっている。これが「にゅう」──自発的な行動の流れに「らしめる」ことに違いない。

 「学習」と「成長」が授業の中でつながった。

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