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教育ルポ つなぐ お悩みカフェ

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お悩みカフェ❾ 時間を味方につける

 

〈Q〉中学校養護教諭・30代の悩み
 担任の先生や保護者から、「できるだけ早く、何か手はありませんか」「様子を見るだけで大丈夫でしょうか」と相談を受けることがあります。その言葉の裏に、「早く解決してほしい」という要求だけでなく、不安やあせり、どうしていいか分からない思いがあることも、頭では分かっています。この〝早く何とかしてほしい空気〟と、じっくり向き合う必要性。その間で揺れる感覚と、どう付き合えばいいでしょうか。

〈A〉時間を味方につける
 子どもの悩みは、そもそも「スピード解決」に向かないものが多い、という事実があります。専門のカウンセリングの現場でも、一人の子どもの問題にじっくり向き合ったとして、根本的な変化には数カ月単位の時間がかかることは珍しくありません。

 からまったひもを「早くほどこう」と一気に引っ張れば、かえって結び目が固くなる。子どもの悩みも、よく似ています。

 一見、早く落ち着いたように見えても、十分にほぐされていなければ、同じ悩みは形を変えて、また姿を現します。不登校や体調不良として〝戻ってくる〟ことも、実は少なくありません。

 養護教諭の役割は、その場で答えを出すことでも、誰かをすぐに変えることでもありません。むしろ、「これは急がなくていい」「今は、立ち止まっても大丈夫」といった見立てを、学校の中で共有し続けること自体が、大切な専門性です。

 担任や保護者にその感覚が伝わった瞬間、支援はすでに一歩前に進んでいます。だから、スピード解決できない自分を、どうか責めないでください。急がせない判断ができているなら、それは専門性が、ちゃんと働いている証しです。

 早く終わらせることよりも、無理に前に進ませないこと。「ここまで頑張っているだけで、もう十分だよ」「またいつでも来ていいからね」と伝えられる場があること自体が、子どもにとっては大きな支えになります。

 保健室は、答えを出す場所ではなく、時間を味方につける場所。その役割を引き受けているあなたの存在が、今日も子どもと学校の呼吸を、そっと整えています。