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教育ルポ つなぐ お悩みカフェ

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お悩みカフェ❺ 静かに育てていくものです

 

〈Q〉保育士・20代の悩み
 保育士として、登園・降園のわずかな時間や、連絡帳のやりとりの中で、子どもとの関わりに課題があると感じられる保護者に「何か伝えたい」「分かってほしい」と思うことがあります。けれど、踏み込み過ぎれば関係がこじれそう。それでも何も言わなければ、何も変わらない気もするし……この「ほんの少しの関わり」に、どこまで力を注げばいいのでしょうか。

〈A〉静かに育てていくものです
 送迎時の数十秒や、連絡帳の数行は、本当にあっという間ですよね。でも実は、その「短さ」こそが、保護者との信頼関係を育てる入り口でもあります。  

 ここで大切なのは、「分かってもらおう」「変えよう」と力を入れ過ぎないこと。保護者対応で求められているのは、正論や指導よりも、「この先生は、わが子をちゃんと見てくれている」「気にかけてくれている」という安心感です。

 例えば送迎時なら、「子どもの様子を具体的に一言添える」「保護者の話を途中でさえぎらずに聞く」「忙しくても笑顔であいさつを交わす」。そんな小さな積み重ねが、信頼の土台になります。

 送迎の数十秒は、こちらが〝何かを伝える時間〟というより、〝信用を貯金する時間〟ととらえてみるのはどうでしょう。今日できるのは、〝ぜに貯金〟で十分。貯まってきた頃に、初めて言葉が届く瞬間がやってきます。

 連絡帳も同じです。いきなり課題を書くのではなく、まずは子どもの「良かった姿」や「頑張り」を伝える。その上で、「園ではこんな様子でした」と事実を添える。それだけで、受け取る側の心の構えは大きく変わります。

 もう一つ意識しておきたいのは、「伝える内容を一度に詰め込まない」ことです。限られた時間・限られた連絡帳スペースの中で、気になる点をすべて伝えようとすると、どうしても重たい印象になってしまいます。〝小さな共有〟を重ねていくことで、「園の先生は、ちゃんと見てくれている」という安心は、少しずつ大きくなっていきます。課題に触れる必要がある時も、その土台があれば、「◯◯先生が言うことなら」と受け止めてもらいやすくなります。

 すぐに変わらなくても大丈夫。関係は、急に動かすものではなく、「静かに育てていくもの」です。そのペースを守れている時点で、もう十分に力を注げています。